公演期間
東京公演:2012年5月16日(水) ~ 2012年5月27日(日)
大阪公演:2012年6月2日(土) ~ 6月4日(月)
会場
東京公演:下北沢駅前劇場
大阪公演:in→dependent theatre 1st
脚本・演出
古川貴義
出演
小野哲史 須貝英 爺隠才蔵 片桐はづき
菊池明明(ナイロン100℃) 木下祐子 磯和武明
神戸アキコ(ぬいぐるみハンター)
小島聰(ブルドッキングヘッドロック) 笹野鈴々音
INTRODUCTION
満足していますか?
私はどうしても、満足できないんです。
いや、ものすごく欲しいってわけじゃないんですけどね。
今の生活が不満なわけじゃないけど、
今よりもほんのちょっとだけ、恵まれた生活を送りたい。
そう、それほど不満ではないんです。
ただなんとなく不足している、そんな気がするだけで。
なんて傲慢なのでしょう
なんとなく幸せなのになんとなく物足りない、私たちの日常。
素敵な何かを得ても最高の誰かと知り合っても、いつの間にかそれが普通となり、
なんだか地味だと感じたりつまらないと感じたりするようになってしまう。
そして気付けば、新しい満足を求めている。
どうして私たちは、飽きてしまうのでしょう。
あれほど大騒ぎしたのも「今」はもう「昔」の話。
当時は「今」だったものも、いつしか「昔」となり、冴えないモノと化していく。
人は、何かを手に入れて満足した瞬間から、対象への興味を失い、飽き始める。
だから、好きじゃなくなったわけじゃないんです。
ちょっと飽きちゃっただけ、隣の芝生が青く見えているだけ。
なんとなく、もう少しいい未来を求めているだけだと思うんです。
なんとなく、もうちょっと素敵な誰かを妄想しちゃってるだけなんだと思うんです。
そんな調子だから、安定したいくせに安定できない。
欲求はエスカレートかシフトチェンジしかしない。
そこに留まることを知らない。
だから、満足するたびに物足りなくなり、また新たな満足を求め彷徨うのです。
新しい服を買い、新しい物を食べ、新しい誰かと出会い、そのうち飽きて。
私たちは、こんなことばかり繰り返している。
それが人生だ、と言ってしまうのは早計でしょう。
まさに消費社会、と言ってしまうのも短絡的です。
人としての成長だ、と言ってしまったらポジティブ過ぎて気持ち悪い。
問題なのは、対象自体はまったく変わっていないという点です。
変わったのはむしろ、自分の方なのです。
だから、どれほど満足しようとも、どうしても満足できないのでしょう。
参加していた政治運動がなんとなく上手く行ってしまい、
求め続けていた新しい「今」を手に入れた活動家たち。
手に入らないからずっと求めていたはずのものなのに、
手に入れた瞬間から、いつの間にか飽き始めていたことに
気付く。
自分たちは、本当にこんなものを求めていたのだろうか。
さあ、私たちはどこへ向かえば良いのでしょうか。
どうすれば、自分の満足のいく自分になれるのでしょうか。