2019年10月1日、鈴木ハルニ(ゲキバカ)が劇団員になりました。
ご挨拶/鈴木ハルニ
2019年10月、鈴木ハルニは箱庭円舞曲に入団しました。
もちろん、ゲキバカも続けていきます。
二足のなんとやらです。
エンターテイメントを時には狂気なまでに突き詰めるゲキバカ、緻密に計算されパズルのように物語を紡ぐ箱庭円舞曲。この匂いも毛色も大きく異なる両劇団に身を置くことに、とてもワクワクしています。
私にとって箱庭円舞曲は昔からの友人のような関係だったと勝手に思っていて、時にはよく話し、そうかと思うと平気で何年も連絡を取らなくなる、そんな間柄だったなと。
出会った頃は、まさかそんな友人の家の庭に住みつくことになるとは想像もしていませんでした。
「AND ALL THAT JAZZ」を観た感想なんて忘れましたが、これからは友人ではない新しい関係性を築くことを楽しんでいこうと思います。
今後は柿木タケヲと古川貴義の描く世界を行き来しながら、より一層お客様に楽しんでもらえる鈴木ハルニを目指していきます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
鈴木ハルニ
ご挨拶/古川貴義
普通に飲み友達かつ芝居仲間で、よその劇団のコアメンバーである鈴木ハルニが、箱庭円舞曲に加わることになりました。
数ヶ月前のこと。
唐突に僕を呼び出した鈴木ハルニが、それなりに神妙な顔を作りながら、
「俺、劇団員になろうかな。箱庭の」
と言い出しまして。
もともと所属している団体(ゲキバカ)はどうするのか気になり、一応、
「お前、ゲキバカは?」
と聞き返したら、
「話は通してある」
と言うので、
40歳を迎えるタイミングで20年近く世話になった劇団を辞めてうちに来るなんて、これは大きい、大き過ぎる決意だなあ、無碍に断れないじゃないか、しかももともと友達だし。
「・・・じゃあ、ようこそ」
とおずおずと手を差し出し、握手したところ、
「掛け持ちするから」
とのたまった。
どういうことだ。
いや、そういうことか。
なるほどそれは良いんじゃなかろうか。
今の時代に合ってるんじゃなかろうか。
一つに拘泥し続けるのも大事だけれど、ちょっとやってみたいんだよね、という気持ちで思い切って飛び込んでみるフットワークの軽さもこのクソ生き辛い世の中を渡っていくには悪くないんじゃないか、この調子で60団体くらい劇団を掛け持ちしたらいいんじゃないか、などとゲラゲラ笑い合い、しかし、
「今育休中だから、次回公演予定なにもないよ?」
と言えば、
「むしろそれがいいんじゃない? いいタイミングじゃない?」
と言うので、
まあなんか、はい、入団してもらいました。
もともと日本大学芸術学部演劇学科の同期で、互いの作品を観に行ったり来て貰ったり飲みに行ったり泊まりに来たり、我が家の家電をすべて逆さにして帰るような悪友でした。なぜか、俳優と演出という関係で作品を創作した経験はなかったのですが、ふとした弾みで、2014年に演出した外部プロデュース公演の「Being at home with Claude ~クロードと一緒に~」の大切な脇役に声掛けしたところ見事にハマり、その後、箱庭円舞曲の『あなただけ元気』『インテリぶる世界』にも出演して貰いました。
若い俳優と先輩俳優の間を繋いでくれる座組の接着剤的な人間味と、男女分け隔てなく接する柔らかさ、細かいところにもこだわるストイックさと繊細さ、などなど、良いところを上げようと思ったらありきたりで使い古された言葉ばかり出てきますが、何より、一緒に真摯にふざけられるのが楽しい輩です。
「劇団員全員一丸になって何万人も動員して劇団で食えるようになろう!」
なんて世迷言は吐かなくなって(儚くなって)幾歳月。
経済合理性からちょっと離れたところで作品創作に思いを馳せていた今日この頃。
きっとそういうタイミングだったのでしょう。
次回公演は未定です。
新劇団員としての鈴木ハルニの活躍を、どうぞご期待ください。
古川貴義