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第二十八楽章『ひとはなれていく』Webパンフレット

ご挨拶(序文)

こんにちは古川です。
本日はご来場、誠にありがとうございます。
心から、感謝申し上げます。

コロナ禍になって、コロナ禍に慣れて、コロナ禍に飽きて、コロナ禍が明けませんね。
この公演は、2021年11月に上演を予定していたものを、コロナが収まることを期待して延期したものです。
その期待が簡単に裏切られたことはご存知の通りで、また、期待を裏切られること(公演中止や公演延期)にもずいぶん慣れてしまいました。
世界には、慣れてはいけないものがたくさんあるはずなのに、慣れたくないけど慣れないとやってられないことが増えてきて、

いつものように長くなりそうなので、続きはこちらからどうぞ。

Place

海、または海的な何かを臨む場所にある、瀟洒な建物。
元々は別荘として建てられたようだが、数年前に所有権を引き継いだオーナーが、現在はシェアオフィスとして運営している。舞台は、この建物の室内階段のあるフロア。共有スペースとなっており、いくつかの小さなテーブルとイスが置かれている。

Time

1991年~~~現在

Cast

野間中:シェアオフィスのオーナー・・・鈴木ハルニ(箱庭円舞曲/ゲキバカ)
羽山:地元の不動産業者・・・・・・・・ザンヨウコ
高萩:野間中の大学の先輩・・・・・・・林和義(箱庭円舞曲)
ゆうき:様々な人物・・・・・・・・・・白勢未生(箱庭円舞曲)
クリス:服飾デザイナー・・・・・・・・笠原千尋
宮田:高校生、若手起業家・・・・・・・山咲和也(ゲキバカ)
つばさ:職業不詳・・・・・・・・・・・嶋村亜華里(箱庭円舞曲)
ジョー:地元の青年・・・・・・・・・・依乃王里(箱庭円舞曲)

Staff

脚本・演出:古川貴義 舞台美術:稲田美智子 照明:瀬戸あずさ(balance,inc.DESIGN) 音響:岡田 悠(One-Space) 舞台監督:渡邊歩(株式会社RESON) 記録写真:鏡田伸幸 記録映像:川本啓 音楽協力:monologue 宣伝美術:Box-Garden House 制作:松本悠(青春事情)
企画製作:箱庭円舞曲 助成:芸術文化振興基金

Special Thanks

イマジネイション ウィーズカンパニー オフィスモノリス クリオネ 東宝芸能 fringe 浅草九劇 水天宮ピット
秋津ねを 浅野黎斗 梅咲ミヤビ 越智良知 鹿島夕雨生 佐々木咲弥 須藤 旭 高杉 駿 原田悠里 宮本悠我 村上裕亮 吉田雅人 喜元 陽
(順不同・敬称略)

Next

【箱庭円舞曲】
第二十九楽章『彼女も丸くなった』(仮)
2023年春 都内某劇場にて

【古川貴義】脚本・演出
株式会社レプロエンタテインメント「すべての人類が家にいる」
2022年12月9日(金)〜18日(日)@浅草九劇

【古川貴義】DJ出演
「東中野は夜の七時」最終回
2022年11月27日(日)@麺酒場ひかる

【依乃王里】出演
らむらプロデュース feat.guizillen演劇公演「推しのためなら死ねる!(仮)」
2023年2月8日(水)〜2月13日(月)@萬劇場

FM89.2 SKYWAVE FM
『依乃王里とギジレンの場末のスナックみてえだな』
毎週月曜夜22時〜放送中

【ザンヨウコ】出演
CHAiroiPLINおどるシェイクスピア『BALLO ~ロミオとジュリエット~』
原作:W.シェイクスピア 振付・構成・演出:スズキ拓朗
2023年1月13日(金) 17時開演@ LINE CUBE SHIBUYA

カリンカ vol.3『日記 (仮)』
作・演出:石黒麻衣(劇団普通)
2023年2月22日(水)~2月28日(火)@下北沢OFF・OFFシアター

【山咲和也】出演
人狼ザ・ライブプレイングシアター
ルーキー公演「人狼TLPT O」
2022年11月22日(火)〜11月27日(日)@上野ストアハウス

マイグラトリウム 第一回公演「ドルイド」作・演出 皆上匠
2022年12月2日(金)〜12月5日(月)
新宿眼科画廊スペース地下

泊まれる演劇 2023年第一弾公演「ホテル・インディゴ」
2023年3月3日(金)〜2023年4月24日(月)@HOTEL SHE, OSAKA

【笠原千尋】出演
ハウス食品CM「ジャワカレー うちはジャワだからね!」篇
日本経済新聞社CM「OFFICE PASS」篇

 

アンケートはこちらから

 

ご挨拶(全文)

序文からの続きです。

慣れたくないのに慣れてしまわざるをえなかった他人事を挙げればキリがありません。地震も、事故も、災害も、テロも、誰かの苦しみも、あの日の喜びも。

近しい誰かのめでたい報告は、遠い異国の戦争の悲惨さを凌駕します。良いことは嫌なことを駆逐してくれる、と言えば聞こえはいいですが、嫌なこと自体は嫌なこととして存在していて終わったわけではないので、果たしてこれが本当に良いことだと言えるのかは疑問です。

人は、過去の嫌な記憶を忘れられるから、今を生きられる。脳がもともと持っている能力だそうです。だから、人は誰かとつるみたがるくせに、一人にもなりたがるのかな、なんて考えています。一人の寂しさを知っているから、それを忘れたくて、誰かと繋がろうとする。誰かといて傷付けられた経験があるから、それを忘れたくて、一人になろうとする。
ずっと、一人のはずなのに。

何年か前から、人々が、何かを一緒に楽しむためではなく、誰かを一緒に叩くために繋がる傾向が強まったように感じています。そしてひどいのは、誰かを一緒に叩くことを、楽しみ始めている(ようにすら見える)。実社会もSNSもその傾向は同様で。どちらが先かは分かりません。車の両輪なのかもしれません。とにかくそれが気持ち悪い。
確かに他人の悪口は蜜の味で、最高の酒の肴たりえます。しかしその分、自分も言われている可能性に無頓着であったり、自分たちを攻撃してくるものはすべて敵とみなしたり、叩きたい誰かの発言はすべて悪とみなしたりする姿が、どうにも気持ち悪いのです。居心地が悪いのです、僕自身。この感覚にだけは、慣れてはいけないなと思っています。

今回は、座組一同でそれはそれは楽しく(時にしんどく)作品創りができた、と感じています。台本を書くのは毎回しんどくて楽しくて、これには全然慣れません。早く慣れたいんですけど、どこかで見聞きしたストーリーといつものテクニックで適当にお茶を濁す、みたいなことが好きじゃないので、どうしてもこう、こんな感じになります、いつも。
言葉でもストーリーでもないところに立ち上がるドラマ、つまり誰かと誰かの間にしか生まれない空気こそが、その空気を見ること、味わうこと、吸えることが、演劇という表現形式に残された最後の希望なのかな、なんて思いながら、今日も幕を開けます。

本日はご来場誠にありがとうございます。
最後までごゆっくり、お楽しみください。

箱庭円舞曲 代表 古川貴義