公演期間
2005年12月2日(金) ~ 2006年12月11日(日)
会場
シアターシャイン
脚本・演出
古川貴義
出演
井内勇希 五十嵐幸司 鈴木ともみ 増子直子
澤村一博 棚橋建太 豊田可奈子 星野祐介
本橋沙都子(橋本聡子)
INTRODUCTION
「このお芝居に興味がありますか?」
質問には、2種類の方法があります。『開かれた質問』と『閉じられた質問』です。
上の「興味がありますか?」のように、答え方が YES or NO 形式の質問を、
『閉じられた質問』といいます。
それに対して、「いかがですか?」や「どのようにして?」などの、
答え方に様々なパターンが存在する形式の質問を、『開かれた質問』といいます。
僕たちは、この二つの質問方法を使い分けて生活しているわけですが、
回答に何かを期待してしまう時というのは、
えてして、『閉じられた質問』をしてしまいがちです。
YESを期待している質問はまだ良いです。
問題は、明らかにNOを期待されている時です。
例えば「私って最悪の女だと思わない?」なんて訊かれたとしたら、
「そんなことないよ」って否定してあげなきゃいけない気がしてきます。
慰めてあげなくちゃいけない気がしてきます。本当は最悪の女だと思っていても、です。
つまり、感情のこもった『閉じられた質問』とは、
質問であって質問でないということになります。
欲しい回答が既に決まってるんですから。なんて卑屈なんでしょう。
しかし、解る気もします。
「私のこと、好きなんでしょ?」とは訊きづらいから、
「私のこと、嫌いなんですか?」と訊いてしまう。
どちらかと言えば僕は、こういう質問をしてしまう人が好きです。
真っ直ぐに訊く勇気は無く、遠慮がち、でも訊きたくてしょうがない。
卑屈だけどむしろ必死で、不器用で、頑張って上目遣いしてみちゃったり。
バレバレなのに訊かずにはいられないという点で実は自意識過剰な気もして。
これは、エゴイズムの歪んだ表出に他ならないと思うのです。
しかし自分に正直な僕は、えてして、期待を裏切ります。
「私って最悪の女だと思わない?」なんて訊いてくる女には、
こう言って差し上げるのです。
「その通りだね。」と。