第十二楽章「メガネに騙された」

公演期間

2009年2月18日(水) ～ 2009年3月1日(日)

会場

下北沢OFFOFFシアター

脚本・演出

古川貴義

出演

小野哲史　棚橋建太　須貝英　爺隠才蔵

村上直子(ホチキス)　片桐はづき
伊藤一将(メタリック農家)
高木充子(La compagnie An)　玉置玲央(柿喰う客)
原田優理子(トリのマーク(通称))　ヤナカケイスケ

INTRODUCTION

あのメガネには騙されましたよ。

外した顔を初めて見た時は、
まあ正直、驚きましたよね。
まさかあんな顔をしていたとは。
まさかそんな本性だったとは。

あのメガネのおかげで、
だいぶ緩和されてたんですよね。
顔も、人間性も。

でも、思うんです。
ひょっとしたらこれはすべて、
自分の問題だったんじゃかなろうかと。
私が勝手に、あの人はそういう人だ、
そういう顔だ、と思い込んでいたから、
「騙された」と感じたんじゃないかと。

本当の顔なんか見ないで済むならば、
見ないままで過ごした方が、
それはそれで幸せなのかもしれません。

けれど私は、気付いてしまった。
気付かなければ良かったんです。
「騙されているかもしれない」
なんて考えたりしなければ、
「それでも、信じてみよう」
と思うこともなかったはずですし。

本当に信頼している相手には、
「信頼」なんて言葉は要りません。
「信頼」という言葉が使われるときは、
その裏に、必ず「疑い」が見え隠れする。

一度でも疑い出したらもう終わりです。
その先には、絶望という希望しかない。