辻沢綾香からのメッセージ
突然のご報告となり大変恐縮ですが、私、辻沢綾香は箱庭円舞曲を退団いたします。
箱庭円舞曲の辻沢綾香と関わってくださった皆さま、気にかけてくださった皆さま、本当にありがとうございました。そして、辞めてしまってごめんなさい。
箱庭円舞曲が嫌いになった訳でも、古川さんと大ゲンカした訳でも何でもないので、こうして今、退団のご挨拶を書いていても実感が湧かないというか、「私は本当に辞めるのかな」「辞める必要があるのかな」なんて正直気持ちはブレブレです。
でも、私は辞める事を選びました。
自分の可能性、個性、年齢、女であること、これから先のこと、今までのこと、そして何より女優であるということ、女優であり続けるということ。
これから更に、色々な役を演じていく為に、
たくさん考えて決めました。
劇団に迎え入れてくれて、辞めることも受け止めてくれた主宰には感謝しかありません。
あ!9月に箱庭円舞曲の公演があります。是非そちら、お楽しみにしていただけたら幸いです。
私も客席から観るのを楽しみにしています。
ありがとうございました。
辻沢綾香
古川貴義からのメッセージ
このたび、辻沢綾香が脱退することになりました。
2014年頃から劇団公演に出て貰うようになって、
2016年の4月に正式加入、以後、4本の公演を一緒に作りました。
面白おかしい女優でした。
引き止めるべきか、受け入れるべきか、何か別な方法があるんじゃないかと延々考えたりしましたが、最終的に、辻ちゃん自身が出した結論を尊重することにしました。
無念ではありますが、きっと熟考を経て、人生の決断として、勇気を振り絞って、僕に伝えたのだと思い至ったからです。
常々、誰かの人生の選択を強制する力なんて持っちゃいけない、
人生の選択は本人の意思でこそ為されるべき、と思っています。
それでも若い頃は、「もうちょっと頑張ってみようぜ」「あと○年やれば上手くいくから」
みたいな絵空事を吐いては、辞めたがる劇団員を引き止めたりしていました。
彼や彼女の人生の責任を、最後まで取ろうというビジョンも気概も持っていなかったくせに。
もう、あの頃のように、根拠の無い自信だけで突っ走れる年ではなくなりました。
年を経ると、思考も変わるし身体も変わります。
許容量を超えて大酒を飲んだら、翌朝盛大に吐き戻すようになりました。
そういう、思考や身体の変化とどう向き合っていくか、みたいな話をしながら、
辻ちゃんが悩むところも出した結論も、至極真っ当だよなと納得していました。
主宰の僕自身が、『劇団』とどう向き合っていくべきか、について、ずっと思い悩んでいます。たぶん、旗揚げした頃からずっと(笑)
『劇団』なんてですね、楽しいこともあるけれどしんどいことがほとんどで、やんなきゃなんないことが膨大にあるのにお金は儲からないし、何かの資格にも保証にもならないし、箔にも自慢にもならないけれども、それでも『劇団員』として加入する価値がある、と思って所属してくれたこと自体が、奇跡でした。
人の時間は有限です。
人生3万日。
その中の数百日を『劇団員』として過ごしてくれたことに心から感謝しています。
「辻沢綾香の代表作」と言われる作品を創るとか、何かの主演女優賞を取るとか、何かそういった素敵な思いをさせてあげられなかったことが心残りと言えば心残りです。
ともあれ、女優業は続けるそうなので、また今後、どこかで一緒にやる機会もあるでしょう。
なくても酒を飲みましょう。飲み過ぎるとすぐ吐くけど。
辻ちゃん、ありがとうございました。
今後とも、辻沢綾香と箱庭円舞曲を、どうぞよろしくお願いします。
箱庭円舞曲 代表 古川貴義